ある日、ごご。



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雨が上がった帰り道、自宅へ戻ると、嬉しい贈り物が届いていた。
北海道で創作をされている、ナガオ サミヤ さんより、手作りの、絵本。
パラパラめくると、コマ送りのような動画になる、素敵な絵本だ。

「 ある日、ごご。」

思わず、感嘆の声をあげ、
そのパラパラ世界に、一瞬で魅了されてしまった。

良いものを、見つけた! 胸が震える。

お礼のメッセージを送る前に、
気がついたら、むくむくと想像が湧いてきて、
言葉を書きなぐっていた。

どうしてもその不思議な「詩」の世界を紹介したくなり、
ご本人に了承を得て、その時書いた言葉とともに、
ここに掲載させて戴くことにする。






「 ある日、ごご。」 



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* * *



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記憶とも呼べない影のような気配の先 

私は動かなかった 
私は動けなかった 

いえそれすらも 
今となっては曖昧な記憶 

私はいつから 
ここに根付いたのか

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通りすがりの 見知らぬ何かが 

おはようと叫んでいる 

生き物だったのだろうか 

おはようございますと 
空にお辞儀をする 

ある日、ごご。






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いつのまにか足が消えていた 
頭はがらんどうだった 

消えた瞬間から始まるものを 
数えようとする一歩手前で 
風はいつも
運命的に吹いた 


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自分と同じ 
見知らぬ何かが 

もういいよ と 
叫んでいる 

うりふたつの兄弟達よ 
名前を知っているなら教えて欲しい 
少しだけ祈りを覚えた 
ある日、ごご。
 






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取り外しのできる風景というのを聞いたことがある 



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壁掛けサイズの森と
手のひらサイズの太陽 

僕は天地を間違えないよう
持ち上げたのだが 
天井の片隅
見知らぬ何かが 

それは関係ないよと
叫んでいる 

巡り巡って行くのか と
急に腑に落ちてしまった 
ある日、ごご。





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血肉 という言葉に 
嘘だろう? と笑えるくらいの 
線が見える 

たくさんの笑い声が 
美しい線となり 
山の尾根をなぞる 



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僕はカラフルな 
寂しい花瓶のことを思い出した 
色と言えば 
自らの口から出る 
煙の白しか知らなかったから 

あれはどこにやったかな 

そういって風景から目を逸らした瞬間 
指先に奇妙な感じを覚えた 
ある日、ごご。


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作画/ナガオ サミヤ
編集/和泉 昇 (Editorial Airplane)
言葉/夏 瞳
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プロフィール

夏 瞳

Author:夏 瞳
シテキナルモノ を、
書こうとする人です。
音符にも言葉を、
のせたりします。

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