生み出すという事。


年の瀬に辿り着いた、一本の動画。

http://www.liverary.com/off-cm/syabon/index.html
「シャボン玉石けん/無添加は、いそがない。」

この石けんの名を聞いただけで、なんとも切ないような懐かしいような記憶が蘇る。
もう21年も経っているなんて、驚愕だ。娘を産んだ、あの頃の事。

当時私はまだ二十歳で、初めての出産・育児に、目が回るようだった。
産んですぐは、プレッシャーからか全く眠れなくなり、
育児ノイローゼの一歩手前のような精神状態だったように思う。

まだ、TwitterもFacebookも存在しない時代だ。
一日中誰とも会話しない日もあった。
社会から孤立するのが嫌で、ラジオばかり聴いていた。

試行錯誤で、慌ただしい毎日。
子供を産み育てる事の大切さを味わう余裕も無い。
そんな中、ひとつだけ、学んだ事がある。

母の手製の布おむつ。

生まれる前から、真っ白な綿の布を用いて、母が布おむつを縫ってくれていた。
もちろん、21年前とはいえ、すでに便利な紙おむつが販売され、
布おむつなんて使っている人は珍しかったのだけど、母は「使い捨ての紙なんて」と譲らない。
本心は、紙の方が簡単じゃない、と言いたかった私。

だけどそこには、
手間ひまを惜しまない愛情と、物を大切にする心が詰まっている。
母の想いが有り難かった。

その大切な布おむつ。
使った後は、しばらく洗剤につけ、それから洗濯機で回す。
ここで迷うのが、「洗剤」。

産まれたばかりのデリケートな赤ちゃんに、負担にならない洗剤でなければ。
真っ先に周囲に勧められたのが、「シャボン玉石けん」だった。
今でこそ無添加、無添加と、当然の事のように言われているけれど、
当時は安心して使える無添加の商品も少なかった。

シャボン玉石けん。
どれほどお世話になった事だろう。

あれから娘も大きくなり、そして私は娘と共に上京し、
今も相変わらず慌ただしい日々を送っているけれど、
このシャボン玉石けんのCMを観た時、
「本当にいいもの」の価値観を再認識させられ、
思わず涙がぽろり、と落ちてしまった。

生み出すという事。

経済優先、便利で早い、が価値のある世の中になってしまった。
生み出すって、そんな事なのだろうか。

どんな価値観も否定する気はないが、自分の持つ価値観を大切にしたい、と思う。

 *

先日、ひとりの女性とお会いする機会があった。
私が作詞をしていなければ、きっと出逢えなかっただろう。
戴いた名刺から、すでに温もりが伝わるような、そんな素敵な方だった。

その方のお名前から、このシャボン玉石けんのCMに辿り着く事が出来た。
オフ・コマーシャルという概念も、興味深い。
彼女は、このCM制作の、照明をされている。
照明=光、この素晴らしいご縁に、心温まる年末になりそうだ。


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夏 瞳

Author:夏 瞳
シテキナルモノ を、
書こうとする人です。
音符にも言葉を、
のせたりします。

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