残酷の裏側には(星屑のリング)
長い長いシナリオを読み終えた時、不思議なことに、恐怖は感じなかった。
ただ胸が詰まるほどの切なさだけが、強く残ったことを覚えている。
昨年の秋舞い込んできた作詞コンペは、
ホラーゲーム「コープスパーティ」をもとにした、
OVA(オリジナルビデオアニメーション)の主題歌だった。
ゲームに無縁の私。
もちろんホラーも、どちらかと言えば苦手な方だ。
参考資料として送られてきたシナリオを読むことに、初めは少し躊躇した。
メロディの美しさだけで言葉は自然に落ちてくるのだから、
先にイメージだけで詞を書き上げようか、とも思った。
けれど、一行一行読み進めるうちに、気付けばいつしか、
部屋に一人、全くの無音の中、黙々と作品を読み続ける自分がいた。
「恐怖」
人は未知なるものに恐れを感じる。
その一番の「未知」は、やはり「死」であろうし、
また「死」にまとわりついている、
「想像を絶する痛み」も、その対象かも知れない。
その「恐怖」のせいで、人は心を見失いがちになるけれど、
恐れを手放し、勇気を持って向き合うと、必ず見えてくるものがある。
惨劇。その残酷の裏側には、必ず人の哀しみがあるということ。
悩み、苦しみ、弱さ、涙、それは誰もが人として当たり前に持っている。
人が人として深く考える状況には、決まって「善人」も「悪人」もいない。
誰もが誰かで、誰もが、見る人から見れば、善人でもあり悪人でもあるんだ。
だからこそ、どう生きるか。
ただ恐れているだけじゃなく、考える必要が、人にはあるんだと思う。
「哀しみの浄化」
歌詞を書き始めたとき、そんなことをイメージした。
歌い手である声優、今井麻美さんの声には「浄化」にふさわしい透明感があり、
凛とした真っすぐさには、哀しみを勇気に変える力があった。
叶わなかった約束を、再びこの胸で抱き締めたい。
「星屑のリング」
タイトルが浮かんだ後は、流れるように一気に書き上げてしまった。
あれから約半年、いよいよ明日、4月13日から19日までの限定一週間、
コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫-が、
OVA発売に先駆け、劇場公開される。
人が人を想う気持ち、恐怖と共に、しっかりと味わってこようと思っている。
* * *
コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫-公式サイト
http://corpse.jp/
トレーラー(You Tube)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=eVupQc7BMQ4
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