夏　瞳のblog…ひとつの星を見ている

　オブジェ制作：miku



そうあるように　と　願うのが人
こうでなくちゃ　と　縛るのも人

自由の源なんぞに憧れて
走り抜けて来た幼い日々

向こう側に投げたつもりでも
一周廻って背後からやられるように
一瞬で木っ端みじん

砕けたのは
私か想い出か？

それはもちろん
想い出だと言える今
その欠片達の美しさに魅入る

すでに意識を失くしたもの
雨の雫だけで光るもの
抜け殻に痛みはなく

情が移らない美しさに惹かれる
自分の記憶もそうでありたい


縦に積む美しさを学んだ
横にすると「時間」になるから
いつだって今を一番大切にする事が
すべての連鎖にとって優しい

だから縦に積み上げる


歌うことでノスタルジーを許されるのは
人の可愛さ　もしくは少しの知恵かも知れないね
弱さ故の

だから
すべての人が
歌うことを許される

色んな歌があるけど
私は今
自分が触れている歌すべてに
心から感謝してる

それは懐かしくも未知なる法則で
手順を知らない私は高揚した


追いかけても手に入らず
飛び跳ねても見えやしない

そんな平凡な年老い方に反抗し
単なる無邪気さで
詩的な自分を取り戻そうとしたことを恥じた

風景の切れ端を
指をくわえて見ているしかなかった私の前を
彼女は颯爽と走る

どこまでも　どこまでも
果てを知らない軽やかさで

辺りは一瞬で
ぽろぽろと垢を落とし始め


ああ
懐かしさと新しさは
混ざり合って澄み切るんだな

夢じゃない
まるで奇跡のように

私は一瞬だけ
普遍の涙を感じたんだ


2013.12.8　画家　如月愛さんと海の覚え書き